みよさん

20代の終わり頃、みよさんに出会った。

当時みよさんがいくつ位だったのかは知らない。

みよさんは僕が話をすればうなずいたり、首をふったり。

必要以上の事は話さなかった。

みよさんは写真写りが好くって、おせっかいで、よく笑って怒って、唄が好きだった。

青や赤の原色の洋服に黒いズボン。

ショートカットが似合っていた。



みよさんはバスで通ってたけど雨の日は僕が迎えに行ったり送って行ったり。


或る日、みよさんにレインコートをプレゼントしたら雨の日も晴れの日も

ナップザックに収納できるそのレインコートを背負って来るようになったけれど

そのうち雨の日も晴れの日も迎えに行ったり送って行ったり。


みよさんを迎えに行くと必ず踏切でひっかかった。

延々と続く貨物が汽笛を鳴らしながらガタンゴトン、ガタンゴトンと音をたてて通過するのをやり過ごした。



みよさんは多分生れてからずっと毎日、この貨物列車の音を聞きながら暮らしていた。



みよさんにキチンと挨拶も出来ずにサヨナラした或る日、

みよさんに一度TELをもらった。

僕が話せば受話器の向こうでうなずいてくれたり。首をふったり。




みよさんとサヨナラしてからものすごく時間が経った。


この前偶然、みよさんを迎えに行くと必ずひっかかった、延々と続く貨物列車をみよさんと見送ったあの踏切を通った。

みよさんを乗せた、みよさんを降ろした場所を探したけれど景色も町並みも変ってしまった。

踏切だけが当時のままだった。

みよさんを迎えに行った、みよさんを送って行ったはずの場所を薄っすらと記憶を頼りに辿っていたら一匹の年老いた毛の長い猫がゆっくり近づいてきた。

みよさんに会えたような気がした。

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Commented by bird at 2016-03-22 23:21 x
川崎新町駅の踏み切り…

みよさんとの思い出を読みながら、自分自身の思い出が蘇ってきました。

この踏み切り、貨物列車が通過する時はなかなか遮断機が上がらず、雨の日は特に待ち時間が長く感じたっけ。

学校に行く時、母と買い物に行く時、友達の家に遊びに行く時…毎日この踏み切りを渡ったっけ…。

それぞれの思い出が詰まった踏み切り。
Commented by hagiryohagiryo at 2016-03-22 23:35
コメント有難う御座います。嬉しいです。変って行く風景は時に思い出までも薄れさせてしまいますが僅かでも残っている昔ながらの風景は鮮明に記憶を蘇らせてくれますね。初めて車以外で降り立ちました。思い出の踏切。どうぞまた機会がありましたらまた渡って下さいね(そして当ブログも是非ご覧下さい!)。本当に有難う御座いました。
by hagiryohagiryo | 2016-03-22 16:38 | 日記 | Trackback | Comments(2)